作者より・・・(4)
ほんのちょっと前、「21世紀は今までのイデオロギーによる戦争とか、諸々の社会問題が新しい概念によって解消する時代になる」とか耳にしたものです。
しかし、いざ新しい世紀が始まってみると、戦争がなくなるどころか、テロや紛争が頻発し、世界中で貧富の格差が広がって、予想や理想とはずいぶん違った、反対に、むしろ殺伐とした世の中が繰り広げられているように見えます。
国際間だけではなく、各国の中、街の中、学校の中、この社会を構成する最小単位である家庭の中ですら、暴力や弱者に対する無分別が横行しているニュースが絶えません。
一つに、情報システムが高度化して、或いはジャーナリストがネガティブな事件を偏重して、昔だったら誰も気がつかない事件がマメに報道されているのかもしれません。だとしても、昔から人間世界はロクでもない非社会的社会だと考えられ、何とも暗い気持ちにさせられますな。
だいたい、大人が短絡的になって、ものごとを熟慮しない傾向を感じます。これが非社会的な出来事の根源の一つだと私は感じるわけです。
山梨県の小淵沢に、「三分一湧水」というのがあります。八ヶ岳山麓から湧き出る清流を三つの村に配分するために三等分 する場所です。
この分水池には、三角形の置石があり、 この石のお蔭で水流は正確に三等分さ れているのですが、これを眺めている と、ものごとは「三つに分けるのだか ら同じ大きさの水路を3本作れば良い」 のではなく、この三角形の置石を備え るという最後の一工夫が、たいせつな のだと気づかされます。
「だるまん&すのーまん」を描くにあたっては、みんなが元気に楽しい世界を生きていくには「三角形の置石がたいせつだよ、もう一工夫が必要だよ」ということを感じてもらえたらなあと、いつも思ってる次第でありますです。
2007.10.19
