作者より・・・(3)
近頃はサルが絵を描きはじめたとか。少しずつ生物は進化しているようですが、今のところ「喜怒哀楽」は人間だけが持つ気持ちだそうですね。
「喜怒哀楽」の中でも、特に人間にたいせつなのが、「喜」だそうで、これを表わす「笑い」が人間社会や生活、ひとりひとりの健康にプラスの働きになっているそうです。昔から「笑う門に福来る」とか「笑いは百薬の長」とかいいますよね。
それで、私は「日本笑い学会」というのと「笑いと健康学会」というのに入ってるんですが、この二つとも医学的な面や精神科学の面、社会学の面などから、笑いについて研究したり情報交換したりしています。
でも、我が国では、特に男性はヘラヘラ笑うのは好ましくないといった考えが古くから蔓延していて、しかめっ面してた方が偉く見られ得をすると思ってる人が多いですな。だからこの「笑い学」というのは、とても新しい学問の分野なのです。
一方では、「笑い」というとエンターテインメント、つまり面白いから笑うというのがメジャーになり、享楽的な「お笑い芸人」の世界しか認められない風潮もあって、「笑い」は「知性」の反対側に位置づけられるようになりつつあると感じます。
で、ひと言に「笑い」といいますが、笑いは「喜」だけではなく、いろいろな気持ちを表わしていることは誰でも知っていることですね。情けなくて悲しいときや悔しいときに「諦めの笑い」を浮かべたりもします。残虐な気持ちで笑うこともありますね。
さて、「だるまん&すのーまん」というマンガを描くにあたっては(マンガといっても「笑い」のマンガとか深刻なマンガとか、いろいろあるわけですが)、私は「喜怒哀楽のすべてが人間の生活や社会にはたいせつだ」という視点を持っています。「喜怒哀楽」は人間の本質みたいな、自然に与えられているものですから、これに素直に寄り添うのが良いかなと。だけどこの「喜怒哀楽」のバランスをとることがポイントだと考えています。バランスをとるには、「笑う」ことが一番です。
自分のまわりに平和で楽しい世界をつくるために、嬉しいときも怒ったときも哀しいときも楽しいときも「笑う」気持ち、状況に応じた様々な「笑い」が「豊かな心」につながったらなと思ってるんですなぁ。
2007.10.2
